2013年5月28日火曜日

2013/05/03-06 Riv.ANBO and YODOGO #4

2013/05/06 屋久島 離島(4日目) と回想

3日目遡行終了後、島内在住の[屋久島遡行人]さんのご自宅にお邪魔させていただいた。移住されてから自らの手でこだわり抜いたご自宅を完成され、五右衛門風呂に暖炉。そして普段はほとんど紹介されていない屋久島の沢という沢の遡行記録に驚かされる。

その後、クライマーチームと呑み屋で再会し宴会。酒を組み交わし、岩、沢談義から色恋、とりとめのない話まで、、、このひと時が至福の時間だ。


無事に安房川北沢左股翁岳沢〜淀川中俣下降を終了できた。翁岳沢はナメの綺麗な沢で淀川も予想通り美しく素晴らしい渓相だった。だが何か平凡に感じ、物足りなさが残る。何故だろう?

やはり2010年梅雨明け直後、少し増水気味の安房川下半部遡行。あの鮮烈な印象が脳裏に焼き付いているからだろう。圧倒的なスケール、水量、ゴルジュさえ明るい開けて陽気な谷、巨大な岩と岩盤やポットホール、要塞の様な中島権現滝に立つ。山経験が一番少ないワタシが山経験豊富なメンバーのリーダーとなり、普段はフォロー専門なのに先頭きってリードで泳ぎ仲間をロープで引き、渡渉で泳いでは木葉の様に流された。行程は遅々として進まずゴルジュの狭い傾斜地でビバーク、真っ暗な、まるで巨大な便器の様な底から空を見上げれば正にスターダスト、側壁を月の光が時間と共にゆっくりと映し出し焚火の揺らめく炎をただじっと見つめる。心のひだが震え、とても眠る気にはなれなかった。

潮の香り漂う河口。
ここから始まった。。。
泳いで泳いでへつっては泳いで、泳ぎまくる。
でも全然、松峰大橋が見えなくならない。
優雅なリバーカヤックツアーのガイドによると、今日はかなり増水していると!

ロープで仲間を引くも、ダイナミックロープはゴムの様に伸びて苦労した。楽しそうにラッコの様なメンバーの表情とは反対に必死で引いてる自分が滑稽に思えた。

トンゴ滝は写真で見るよりやはり水量が多めの様で、近づける様な気はしなかった。

夜明け。
まるで自分が小さくなって便器の底に落ち込み外の世界を見上げている様だった。

朝一番から80mの淵の泳ぎ。
へつって、登って、泳いで、登って。。。
楽しくて楽しくて仕方がない。

奥に通称「栗岩」が見えた。
この風景も下部の谷のスケールを良く表している。写真では全く伝わらないデカさ、スケール。
全く流れが無いように見えるが、栗岩直前の流れは太く速い。

この位の岩を「デカい」というのだ。
足元の30cm滝?
平気で立っている様だが実は。。。
一旦、足を上げると2度と足を置けない凄い水圧がかかっている。実際に足を放してしまい、流された。
右手前に写っているくぼみの様な所が屋久島最大のポットホールらしい。

まるで自分達が小人になった様に感じる。ルートファインディングも慣れが必要。女性は特に乗り越しが大変かも。当分ゴーロは見たくなくなる。

ルーファンしようにも地形がデカすぎて、近寄るまで詳細が分からない。
 
ナメ滝だってドデカい。半日位は遊んでいたい場所が次々に現れる。

ポットホールの数も大きさも並ではない。

鯛之川のとは別のもう一つの千尋滝。
要塞の様な「中の島権現滝」。
テラスまで登ってボルト3本を確認。どこに居るか見えますか?

これを登れば中の島権現岳を回り込む様な大屈曲点の谷は地獄の大ゴーロ帯らしい。ゴーロに辟易としてる我々はもちろんパスです!
小杉谷手前で再入渓して宴会モード♪










2010年、安房川下部〜中部のほんの一部の写真。
遡行から2年半が経過し客観的にみれば登攀要素は殆ど無いし難しい谷ではない。でも、水遊び好きには堪えられない谷だった。
このスケールに匹敵する屋久島の谷はどこだろうか?

規模的には小楊子川下部だろうな、多分、、、上級だけど。。。

今年の遡行もすでに過去の記憶となって来た。あと何本入れるか。。。

2013年5月20日月曜日

2013/05/03-06 Riv.ANBO and YODOGO #3

2013/05/05 屋久島 安房川北沢左俣翁岳沢遡行〜高盤岳(とうふ岩)〜淀川中俣下降(3日目)
最終日。本日のルート。

投石岩屋〜花之江河から湯泊歩道に入り高盤岳でとうふ岩に触り、淀川中俣から下降し淀川登山口へ。
逆コースから遡行してくるISOチームと会えるか?





花之江河から快晴の黒味岳を臨む。
今日も快晴に恵まれる。
湯泊歩道に入るが、宮之浦方向に行く一般的な登山者が間違えないように紐が張って、注意書きがしてある。
高盤岳も青空に映えている。


途中、栗生歩道との分岐を湯泊歩道へ。
栗生歩道を経て七五岳方向へも行ってみたい。
湯泊歩道はもっと荒れていて廃道寸前かと思っていたが淀川中俣入渓地点までは快適な登山道だった。









高盤岳への道を見落とした様だ。登山道が遠のく限界の西側から適当にアプローチするが猛烈なヤブ漕ぎになる。ヤブ漕ぎグレードⅡ級+?。GPSで確認しながら何とか山頂直下の岩場に。ミツバツツジの様な花が咲いていた。
岩場を左に回り込んで山頂を目指すと明確な踏み跡に出た。

高盤岳とうふ岩。
小花之江河だろうか、登山者が手を振っているのでこちらも振り返す。
「おぉ〜〜〜ぉいっ!」と、どこからか呼び声が聞こえる。縦走路の展望台だろうと思って探すが分からなかった。




 


高盤岳からの展望は思った以上に素晴らしかった。昼寝したりしてゆっくりと過ごしたかったが下山にかかる。名残惜しい。
明確な踏み跡をたどって下山するとしっかりした登山道が付いていた。登山道は北西の緩やかな尾根に沿っている様だ。







湯泊歩道を少し進んで入渓。
予定通り登山道直前の右分岐から入る。ヤブは全くなくて快適。











人工的に石を積み上げたような不思議な岩壁。

写真でよく見かける小さな廊下。
淀川は水が透明過ぎて見えませんが(^_^;
今日も水は冷たい。なるべく巻いたりへつったりして進む。












下るにつれ、どんどん癒しの渓相に。差し込む緑の日がまぶしい。

ビャクシン沢や石塚小屋谷も良かったが、やはり淀川は素晴らしい。
何と言ったらこの景色を表現できるのか...



見慣れたよどごう橋に到着。ISOチームに遭遇しなかたのは不思議だったが、源頭域でニアミスだったみたい、残念。淀川登山口には予定通り車が回してあった、感謝です♪去年は雨でここで脱渓したので去年の残り部分も完了できた。今年は全行程晴れ、天候に恵まれました。皆さん、ありがとうございました。







2013/06/02 追記                                               

百さんのブログより拝借
2013年5月3日 白谷雲水峡14:07~辻峠15:25~軌道16:18~軌道終点17:22~テン場(北沢分岐)17:32
2013年5月4日 テン場6:19~右俣分岐~翁岳稜線16:53~投石岩屋17:55
2013年5月5日 投石岩屋7:30~高盤岳(トーフ岩)10:13~淀川小屋14:26~淀川登山口15:03

2013年5月19日日曜日

2013/05/03-06 Riv.ANBO and YODOGO #2

2013/05/04 屋久島 安房川北沢左俣翁岳沢遡行〜高盤岳(とうふ岩)〜淀川中俣下降(2日目)
いよいよ入渓。本日のルート。
北沢右俣と左俣の吐合からスタート。
栗生岳〜翁岳間のルンゼを真っ直ぐ抜け一般縦走路に脱渓する。
高度900mから1750mの約850m。
行動時間11時間の予定。







6:20遡行開始。本日も晴天!
出だしはゴーロ。
花崗岩にステルスソールがバチ効き。












谷が岩に塞がれて出来た水の流れ。
CS滝といえるのかどうか??
このサイズ、屋久島では小粒な部類。
釜が大きいのも屋久島標準仕様。










クライマー百さん先行。滝左岩壁を登ろうとしている。と、フッと姿が消える。。。(ワタ姉さん)百さんは?(Pooh)登り切ったんじゃない?
近づいてみると。。。滝直下に痛恨のドボン!水温20度以下だと空気中の25倍の速度で体温が奪れ滝の水流で更に加速。長居は低体温症になりかねない。「下流に流されてぇー!」と指示出し。上がって来ると...寒そぉ〜。メンバー全員泳ぎもOKだけど、今は泳ぎたくない気分(^_^;;
 

本日の足回り。全員ステルスソール。

屋久島の花崗岩に効きが良いが茶色っぽいコケ?はもちろん、黒っポイコケ?地衣類?も注意。足置いた直後はバチ効きでも、濡れたソールでスタンス探す間が長いとまるでスポンジの様に水を吸い込みズルっとくる。
同じ理由でトップよりセカンド以降の方が滑り易くて難しくなるケースもままある。



少し谷幅が狭まってくる。
屋久島は谷幅に比して岩のサイズが大きいためか、写真で撮ると実際よりスケールが小さく感じる。
右側壁をへつるのですが...






実際は意外に大きいのです。
ワタ姉さんも人工壁でかなり鍛えててクライミングは上手♪
しかも慎重なのでなかなかドボンしてくれません(^_^;
ビレイは精神安定剤という事で。







今日は「落ちたくないっ!」というより、「水に入りたくないっ!」てカンジかな。

入渓後、初めて滝らしい滝。
ワタシが遡行図書いたらコレがF1ですね♪
泳ぎたい...でも寒い(^_^;
右岸巻き。

本日初のロープ使用。
フリーで充分ですが慎重に行きましょ♪

新緑と光のシャワーを浴びて輝くエメラルドグリーンの水、綺麗!吸い込まれる。
もう我慢できん。本日初泳ぎ。
キャー、痺れるぅ〜〜!!
※画像クリックで大きな写真。






 




ついでにちょっと登る。
去年位の水温だったら水心行くんだケド。


OK〜〜〜っ!









 

...って、誰も泳いでこない。
ですよねぇ〜。
すでにロープ出して右岸巻いてるし。

















綺麗な樋状の流れ。
岩伝いに簡単に越えられる。












 

ひときわ大きな倒木。
地衣類もついてないし比較的新しいのか、元々杉にはつきにくいのか?
根は地に着いてたからまだ生きてるとか?

美しい紋様の年輪。この木が見つめてきた長大な時空間がそっと語り掛けてくる様だ。

とても美しいナメ。
写真では伝わらないなぁ〜。
この辺りでビバークしたい。
※画像クリックで大きな写真。


左俣最大のF12(30m)に到着♪
ワタシが遡行図書いたらコレがF2。







正面からの景観。
上部が少しあり2段っぽくなってる。








 


下流側の眺め。
凄い水の色、コバルトブルー!
バスクリン(知ってる?)みたい。
写真左端の杉あたりから右岸巻き。

薄い藪を進む。
少し下流よりの方が傾斜が緩い。

立木にセルフ取って滝頭付近から。
クライマーだったら登れそう。
キャニオニングで降りても気持ち良さそう。

癒されますねぇ〜。

ナメが本当に綺麗。
緑と青空に白骨樹が映えるなぁー!
※画像クリックで大きな写真。

時に岩棚を歩いたり...
側壁が立ってるんですが明るい谷なので開放的です。

これをCS滝と見なせば巻いているという事になりますが(^_^;
ただ岩を乗越してるってカンジです。



緑に混じって紅葉や黄葉も?
まるで秋の谷を遡行しているよう。

紅葉の遥か遠方に稜線らしき場所に奇岩が遠望できるところまで来ました♪

更に進むと終了点付近の「ゲンコツ岩」がそびえているのが遠望できるところまでやって来た。


そしてとうとうルンゼ下部に到着した。
結構迫力があるが谷が開けているためゴルジュの様な陰惨さは皆無で明るい。
難しい印象を受けるがとりあえず近くまで行ってみる。

近づくと思いのほか簡単そう♪
左側壁を登るか、洞窟状の岩下を進むか。
左側壁はⅢ級程度?
簡単だが出だし1発目のナチュプロをどこに取ろうかなぁ...



シゲさんトップで岩の洞窟の中へ突撃。
ザック背負ってがギリで通る程度の隙間。
どうやら岩下を抜けれそう。

岩下を潜って回り込む様に抜け岩上に出る。

そして核心部と思われた個所に。



左岸を登り、右岸にトラバースしてみる事に。
百さんトップでロープを引く。

フォローで続く。
ブッシュがあるので安心です。













右岸水線際から。
水心通しでも行けそうですが微妙。
ブッシュ鷲掴みで越えるなら左岸通しの方が良かったかも。
安全優先で右岸のヤブを漕ぐ事に。








一部傾斜がきつい場所もあるので一応コンテで進みます。












斜面にピンクの花が。
ミツバツツジの仲間でしょうか?












ブッシュを帯を抜けると奇岩は目前。
水はまだ枯れない。翁岳付近の縦走路脇に「最後の水場」と書いてある場所でも水があるのだから。










予測タイムより1時間ばかり早く貯金がある。
日の高いうちに稜線に抜けられると思うと名残惜しい。
この辺りで本日ビバークしたいが落石の危険性があり、とてもココで寝る気にはなれない。

残念だ。。。ルンゼを振り返る。








シゲさんトップで抜けに入る。クライマーはブッシュがお嫌い?岩伝いに行くのは快適で良いだが次第に南側へ押し上げられる。制止して追い越しルート確認し西へブッシュをトラバースする事にした。
ヤクザサとシャクナゲが密生する屋久島標準仕様だが、ここはアセビ?などトゲトゲやつる系が無かったので比較的良好。それでも岩場付近は足が浮いて空中ヤブ漕ぎ、ヤブ漕ぎグレードⅢ級(^_^;




注意深く忠実に水線を詰めるべきだったか。ルートとしてはどっちでも良かったのだか途中で確認すると水線の方がヤブが薄そうで植生を少しでも荒らさなくて済むし。こんなところでヤブ漕ぐヤツなんて多くは居ないだろうし、人が思ってるほど森は「ヤワ」では無いと思っているが。
なるべく環境にインパクトを与えない「気持ち」「姿勢」は大切だと思う。




宮之浦方面に上る登山者が縦走路に見える。コチラのはしゃぎ声に気づいて驚き、手を振ってる。
予定どおり「携帯トイレブース」裏に脱渓。
趣あるなぁ〜(^_^;

因みにルンゼ左岸に見た奇岩。
縦走路からはこの角度から見えないケド、結構お茶目で可愛い!
ルンゼ下から見た時、何でこの岩が「ゲンコツ岩」なのか理解できなかった。

なんでも数年前の台風で、縦走路から見て左側が吹っ飛んだらしいと[YNAC 屋久島野外活動総合センター]のO原さんにTwitterで教えていただいた。「食パン」岩とも呼ばれてたとか。
この写真は2004年のストック。









快晴で縦走路も快適♪
しかしシルバーチーム(^_^; は元気だ!
ワタシはいつもどおり、水枯れしたのでヤル気スイッチ切れ。ワタ姉さんにザイル持ってもらった後、2人はアッという間に視界から消え去った。トレーニング不足のシゲさんと2人、ヨロヨロしながら重い足を運ぶ。






今夜は投石岩屋に「緊急ビバーク」する事にする(^_^;; 予想どおり風が巻いている。タープでしのぐ。投石平は風の通り道。
稜線を無事抜けた祝杯を。ジゲさんのザックからビールが出てきた、、、缶詰まで。。。
荷物重過ぎだったので白谷雲水峡で大分置いてきてもらったが、まだこんなに...
ウィスキーをチビチビやりながらウトウトする。夜半に少し風は治まっていた。明日はとうふ岩に触って淀川下降。おやすみなさい♪